「官僚になれる!」
「9時-17時で給料もらえる!」
そう思って、厚生労働省の門をたたいた私は
現状に唖然としました!!
医系技官は激務の連続だったのです。
もし、これから医系技官になる人がいれば
少しでも参考になればと思います。
この記事の内容
〇これが医系技官の1日だ。帰れない日々。働き方改革はどこに?
〇厚生労働省の現状。毎年1/3の辞めていく激務
〇お金ではなくやりがい。日本の未来を担う仕事。
これが医系技官の1日だ!
公務員のイメージってどんなイメージですか? 厚生労働省に入る前の私のイメージはこんなでした。
「公務員なんて9時-17時で税金から給料貰って休みもしっかりあってズルい!!」
「税金泥棒だ!」
いやー何もわかってなかったですね(笑)
実際は日付変わる前には帰れませんでした。
では、医系技官の1日をみてみましょう
出勤は9:30.
普通の会社よりはゆっくりですね。
因みに、私は津田沼の官舎だったので出勤には1時間くらいかかりましたから、だいたい、朝8:00には家を出ていました。(噂によると厚労省の官舎は都内は売り払ってしまって都外にしかないのだとか)
部署にもよると思いますが、特に必要なければ朝の朝礼やミーティングはなく、仕事が始まります。
抱えてる仕事が沢山ありますので取り掛かります。
そして、定時の帰宅時間は18:15です。
あくまでも定時です。
まず、日中は自分の仕事はほぼ出来ません。
何故かというと、問い合わせが殺到し、対応に追われるからです。
国民、弁護士、議員からの問い合わせ、苦情が殺到。
議員の場合は資料を揃えて説明に行きます。
(レク対応といいます。)
(作成した資料も複数の上司の了解が必要)
担当している業務に関連するニュースが出ようものなら対応に追われます。
しかも、ぺーぺーの僕にはわからないことばかり!!
(ちなみに医系技官は厚生労働省に入省した年次ではなく、医師免許取得後の年数で階級が決まり、医師10年目で入省した僕は厚生労働省1年目でも課長補佐からはじまりました。これは決して良くはないです。なぜなら仕事できないのに、思い責任だけが付きまとうからです。)
内容も「え、何それ?」とまずは自分の知識を付けるとこからはじまります。
例えば
「統合医療に音楽療法は入るのか?」
「リスティング広告で自由診療を謳ってはいけないのか?」
「統合医療?」「リスティング広告?」
そして、ようやく、問い合わせがなくなった18時以降から自分の仕事を開始。
検討会の資料作成→上司の了解→直し→上司の了解→直し
何をするにも上司の了解が必要。
(↑普通の会社ならあたりまえなんでしょうが、医師の僕としては裁量権がなさすぎるのがストレスでした。)
しかも、上司も一人ではありません。調整官→課長→(局長→官房総務課→厚生労働大臣)
ちなみに厚生労働省の中で一番偉いのは医師ではもちろんありません。
厚生労働省には医系技官(医師、看護師、歯科医師)、薬系技官(薬剤師)、法令(法律家)、情報系がいて、法令(法律家)が一番偉いです。課長、局長クラスになると法令が占めます。
なので・・・
上司(法律家)の質問も最初はちんぷんかんぷんです。
「それは医療法の第何条に書いてあるの?」
「・・・・・え?」
(容赦なく聞いてきます。そして、分厚い医療法を開き始めるのですが、はっきり言って慣れてないと法律用語は読めません。今でこそ何となくわかるようになりましたが、はっきりいって日本語ではなかった。)
あれやこれやと24時を超えます。
ちなみに、資料の印刷、ホチキス止め、封筒入れ、全部やります。
(ちなみに私は事務作業をしたことがなかったので「2アップ(用紙1ページに2ページ分の資料を印刷すること)」「長辺とじ(両面印刷の時に裏が左右逆転しない閉じ方)」たどさっぱりわかりませんでした。今なら分かりますが、、、)
Outlookでメールも1日100通きます!
しかも、分厚いPDFつき
最初のうちはどれが重要なメールなのかすらわからず、
メールよむかだけで日付こえてました(笑)
厚生労働省の現状
なんと、入省から1年以内に3分の1はやめるそうです。
これはやばいですよね。
僕の周りにも辞める人がチラホラいました。
「あれ、○○さんは?」
「あ、辞めたみたいですよ!!」
でも、納得できます。
きつい、帰れない。
厚生労働省→強制労働省とみな笑いながらいっていました。
ちなみに
経済産業省→経済残業省
しかも、厚生労働省の職員の3分の1は外部からの出向者で成り立っています。
(対して永続勤務のかたをプロパーと呼びます。)
税金を数千万から何億も投入しているプロジェクトを外部の出向者がになっています。当然、出向元にもどれば新しい他からの出向者が0からスタートしてその業務を担います。いいの?(笑)
私の唯一の楽しみは時間外をかいて
すこしでも残業代を得ることでしたが
なんと、国家公務員法で残業代は出ないことが退職前に分かりました。(笑)
ちなみに給料は医師として働いてた時の3分の1まで落ちました。
家のローンもあったので毎月貯金は減っていく日々。
申し送りも十分にされていないと仕事わからないのに
重い責任だけがずっしりのしかかる日々。
外の会合に行けば
「厚生労働省はなにをやっているんだ!?」
「厚生労働省としてどういう対応をしていくんだ!?」
と罵声を浴びせられる日々。
「あ、あの電車に飛び込んだらラクになれるな」
「死なない程度に車に轢かれようかな」
なんて考えてました。(マジヤバかった。)
そんな時にみた映画でボロ泣きしたのを覚えています。
「ちょっと今から仕事やめてくる」
お金ではなくやりがい。日本の未来を担う仕事。
すごいもので、1年もすると慣れてきます。
僕は医局も厚生労働省もやめる準備をたんたんとしていましたが、
そんなんとき、上司に飲み会に誘われて言われた言葉が今でも心に残っています。
「私は常に仕事に愛を持っている。あくまでも患者さんのためという目線を変えない」
こんな、くそ忙しくて、給料もやすいのに、医師として働けばもっと楽に暮らせるのにこの人たちはすごいなと思いました。
厚生労働省で働く人たちはにはブレない芯があります。
こういう人たちが国を動かしてると思うとほんとに頼もしいです。
わたしは辞めてしまいましたが、霞が関に足を向けてはねられません。